国際学会
体験記

国際学会と聞くと、アレルギー反応を起こす方も少なくないのではないでしょうか?かく言う私もそうでした()

はじめての
国際学会

 私が英語で初めて発表したのは、アメリカのボストンで開催されたアメリカ肝臓学会(AASLD)でした。ポスター発表ではありましたが、行く前から極度の緊張をしておりました。緊張をほぐす為なのか、上司の先生がついた『国際学会に行くときは飛行機からスーツでいかなければいけない』という嘘をまともに聞いてしまい、スーツで空港に登場し、笑われながらトイレで私服に着替え直したことを鮮明に覚えております。この出来事で緊張はほぐれ、発表も滞りなく終わり、胸をなでおろしました。
 発表後は医局員のみならず、他大学の方々も一緒に美味しいお肉やクラムチャウダーを食べたり、ハーバード大学内を見学したりと初の国際学会を満喫しております。その後もポスター発表を何度かさせていただきましたが、英語に自信のない私は口頭発表を頑なに拒否しておりました。

発表までは
緊張との戦い

 しかしながら、ヨーロッパへただ行きたいという一心で出した2016年ヨーロッパ肝臓病学会(EASL)で口頭発表の採択が来てしまいました。光栄なことはわかっておりますが、英語の苦手な私にとっては拷問に近いため、口頭発表希望のタブをクリックしたことはございませんでした。ただ、EASLは口頭、ポスターの形式を選ぶことができなかったのです。そこから発表までは常に緊張との戦いでした。しかしながら、中島教授、斉藤先生、米田先生といった偉大な上司の先生方、後輩の小川先生、結束先生、本多先生といった頼りになる後輩の先生に支えられ、何とか発表を終えております。


 檀上では英語が若干飛び、また質問への答えも正しかったかもわかりませんが、終えた後の爽快感は得も言われぬものでした。
 同学会で私よりも大きな会場で発表した結束先生の胆力には度肝を抜かれました。発表している姿を感慨深く観ておりました。学会の発表さえ終わってしまえばこっちのものです。そのあとは飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎです。小川先生とホテルの同室でくだらない話で盛り上がり、中島教授にほっぺたの落ちるようなお肉とワインをごちそうしていただき、思い出深い学会となりました。
 その3年後の2019年のEASLでは本多先生が優秀演題賞に選出され、外国人に囲まれながら表彰されている状況を嬉しそうに見る中島教授の横顔を鮮明に覚えております。

初めて見たオペラ

 学会発表後はお楽しみの観光ツアーです。このために国際学会に来ているといっても過言ではありません。後輩の小林先生も一緒に綺麗な建造物を見学したり、異国の地でおいしい食事をしながら学会の想い出(?)や思い出を振り返りながら酒を飲むことは筆舌に尽くしがたいものがあります。
 初めて見たオペラは眠くてたまらなかったですが、貴重な体験でした(笑)。

国際学会参加の勧め

 現在、コロナ禍で、国際学会はおろか国内の学会にも現地参加が厳しい時代になってしまいました。学会に出すモチベーションの維持は難しくなっているのは事実です。ただ、学会は出し続けなければ名前が忘れられてしまい、コロナ禍を乗り切った後にいざ発表と思っても採択されなくなってしまうかもしれません。

 学会に出るということは、知識のアップデートも重要ですが、仲間との絆を深め合うことが最も大きな意義だと考えております。英語が話せないことなど関係ございません。是非皆さんも臆することなく国際学会での発表を経験してください。一緒に観光や美味しい食事をしましょう!