三澤昇医師(横浜市大附属病院)の直腸内の糞便をエコーで評価した論文が日本の大腸肛門病学会の英文誌「Journal of the Anus, Rectum and Colon」に掲載されました。
Diagnostic Ability of Ultrasonography Compared with Computed Tomography for Assessing Rectal Feces
J Anus Rectum Colon. 2024 Apr 25;8(2):126-131.
Noboru Misawa, Masaru Matsumoto, Momoko Tsuda, Shigeki Tamura, Tsutomu Yoshihara, Keiichi Ashikari, Takaomi Kessoku, Hidenori Ohkubo, Takuma Higurashi, Hiromi Sanada, Mototsugu Kato, Atsushi Nakajima
【三澤医師のコメント】
CTは直腸内の便塊の評価に有用ですが、放射線被曝の問題や費用面、利用できない施設があるなどの問題がありました。超音波検査ではこれらの問題を回避できますが、実際超音波検査で直腸内の便を正確に評価できるかどうかは不明でした。本研究では直腸内の便の評価における超音波検査の診断能をCTと比較して評価しました。結論として、腸内の便塊貯留の評価においてCTと超音波検査は高い一致度を示し、超音波検査がCTの代替となりうることが示されました。
また本研究で使用したエコーは通常の据え置き型のものではなく、ワイヤレスのポータブルエコー(iViz air:富士フイルムメディカル)を使用したのも特徴の一つとなります。ポータブルエコーはエコーの非侵襲的という特性に加え、リアルタイムに簡便に評価できるという特性を持っており、在宅医療や訪問看護などでも広く使用されています。本研究がそうした医療現場の一助になれば幸いです。
本研究の論文化にあたり、中島淳教授、石川県立看護大学学長の真田弘美先生、北海道対がん協会会長の加藤元嗣先生を含め多数の先生方に御指導御尽力いただきました。この場を借りて、皆様に感謝申し上げます。