米田正人医師が参画したMASLDにおける肝細胞癌サーベイランスの研究が GUT 誌に掲載
米田正人医師が参画したMASLDにおける肝細胞癌サーベイランスの研究が GUT 誌に掲載されました。
Non-invasive risk-based surveillance of hepatocellular carcinoma in patients with metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease.
Lai JC, Yang B, Lee HW, Lin H, Tsochatzis EA, Petta S, Bugianesi E, Yoneda M, Zheng MH, Hagström H, Boursier J, Calleja JL, Goh GB, Chan WK, Gallego-Durán R, Sanyal AJ, de Lédinghen V, Newsome PN, Fan JG, Castera L, Lai M, Fournier-Poizat C, Wong GL, Pennisi G, Armandi A, Nakajima A, Liu WY, Shang Y, Saint-Loup M, Llop E, Teh KKJ, Lara-Romero C, Asgharpour A, Mahgoub S, Chan MS, Canivet CM, Romero-Gómez M, Kim SU, Wong VW, Yip TC.
Gut. 2025 Jun 20:gutjnl-2025-334981.
[米田正人医師のコメント]
本研究は、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)患者における肝細胞癌(HCC)サーベイランスの適応基準を明確化することを目的とし、非侵襲的検査(non-invasive tests: NITs)を用いてHCC高リスク群の選定基準を検討した多施設前向きコホート研究です。
アメリカ、ヨーロッパ、アジアにまたがる16の三次医療施設において、2004年から2023年にかけてMASLD患者12,950例を登録し、Fibrosis-4 index(FIB-4)および肝硬度測定(LSM)とHCC発症リスクとの関連を評価しました。
その結果、FIB-4が3.25以上、またはLSMが20 kPa以上で、年間HCC発症率が1%を超えることが明らかとなり、これらの指標が単独でHCCサーベイランスの実施判断に有用であることが示されました。また、FIB-4が高値であった症例に対してLSMを二次的に実施する段階的スクリーニングアプローチにおいても、LSMが15 kPa以上であれば同様に年間発症率が1%を超えることが確認され、このアプローチの有効性も示唆されました。
本研究は、MASLD患者におけるHCCサーベイランスの最適化に向けた重要なエビデンスを提供するものであり、リスク層別化と効率的な非侵襲的検査戦略の構築に貢献することが期待されます。
このたび、本研究成果を消化器内科領域で世界を代表する GUT 誌に報告できましたことを、心より光栄に存じます。研究の遂行にあたり多大なるご支援・ご協力を賜りました関係者の皆様に、深く感謝申し上げます。