栗田裕介医師が参画したIgG4関連硬化性胆管炎の研究がJournal of Hepato-Biliary-Pancreatic Sciencesに掲載
日本膵臓学会膵炎調査研究委員会自己免疫性膵炎分科会による多施設共同研究成果
「Multicenter Validation Study of the Clinical Diagnostic Criteria for IgG4-Related Sclerosing Cholangitis 2020 in Japan」が、『Journal of Hepato-Biliary-Pancreatic Sciences 』に掲載されました。
本研究には、当教室の栗田裕介医師と窪田賢輔医師が共同研究者として参加しました
Multicenter Validation Study of the Clinical Diagnostic Criteria for IgG4-Related Sclerosing Cholangitis 2020 in Japan.
Naitoh I, Nakazawa T, Kubota K, Nishino T, Nakamura A, Inoue D, Sano T, Kikuta K, Kurita Y, Chiba K, Ikeura T, Matsubayashi H, Ishikawa T, Kuwatani M, Kamisawa T, Yasuda I, Kawano M, Masamune A; Japan Pancreatitis Study Group.
J Hepatobiliary Pancreat Sci . 2026 Jan 7. doi: 10.1002/jhbp.70056.
◆ 研究概要
本研究は、2020年に改訂されたIgG4関連硬化性胆管炎の臨床診断基準(IgG4-SC2020)の診断能を、日本全国多施設データを用いて検証した大規模バリデーション研究です。
IgG4-SC患者 1,034例 と、膵癌・原発性硬化性胆管炎(PSC)・胆管癌などの鑑別疾患(ミミッカー)447例を対象に、従来のIgG4-SC2012基準との比較検討が行われました。
◆ 主な成果
● 感度の大幅な向上
IgG4-SC2020はIgG4-SC2012と比較して、感度が有意に向上
99.0% vs 89.1%(p < 0.001)
● 悪性疾患に対する特異度は100%を維持
膵癌および胆管癌に対する特異度は、IgG4-SC2020・2012ともに 100%
● PSCに対しても高い特異度を維持
IgG4-SC2020:97.5%
IgG4-SC2012:100%
両者に有意差なし
● 診断不能例の大幅な減少
IgG4-SC2012では診断不能であった 113例 が、IgG4-SC2020により新たに診断可能となった
● 診断能向上の要因
- MRCP所見の導入:97例
- 組織学的に腫瘍細胞が存在しないことの評価:15例
- IgG4関連腎病変の追加:1例
本研究は、2020年に改訂されたIgG4関連硬化性胆管炎の臨床診断基準(IgG4-SC2020)の診断能を、日本全国多施設データを用いて検証した大規模バリデーション研究です。
IgG4-SC患者1,034例および鑑別疾患447例を対象に、従来のIgG4-SC2012基準との比較を行いました。
IgG4-SC2020では、MRCPが正式な診断項目として追加され、ERCPに依存せず非侵襲的に胆管病変を評価できるようになったことなど診断要素が整理されたことが大きな特徴です。
その結果、IgG4-SC2012では診断不能であった症例の多くが新たに診断可能となり、感度を大きく向上させつつ、膵癌・胆管癌に対する特異度100%を維持するという、実臨床に即した診断基準としての有用性が示されました。
[栗田医師のコメント]
本研究は、日本全国の多施設が連携し、IgG4関連硬化性胆管炎の診断基準の妥当性を実臨床データに基づいて検証した大規模検討です。
新しいIgG4-SC2020基準が、従来では診断に至らなかった症例を適切に拾い上げ、かつ悪性疾患との鑑別精度を維持していることが示された点は、今後の診療の質の向上に直結する重要な成果と考えています。
横浜市立大学として本研究に参画できたことを大変光栄に思うとともに、内藤格先生をはじめとした本研究にご尽力された全国の先生方、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
