一般社団法人横浜国際肝胆膵消化器病学機構Yokohama International Hepato-Biliary-Pancreatic-Gastroenterological Association

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2026年8月17日

米田正人主任教授が参画した、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)患者における心血管死亡リスク予測モデルの有用性を検討した研究が、The American Journal of Cardiology誌に掲載

 心血管疾患はMASLD患者の主要な死亡原因の一つであり、適切なリスク評価が重要です。本研究では、米国National Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)1999–2018のMASLD患者3,311例を対象として、心血管リスク予測モデルであるPREVENTとASCVD-PCEの心血管死亡予測能を比較しました。
 追跡期間中央値109か月の間に140例が心血管疾患により死亡しました。PREVENTおよびASCVD-PCEはいずれも心血管死亡と有意に関連しており、全体的な予測性能はPREVENTの方がより良好でした。一方、両モデルとも短期から中期の心血管死亡に対する予測能には限界が認められました。
 以上より、一般集団を対象として開発された心血管リスク予測モデルはMASLD患者において一定の有用性を有するものの、MASLDに特化したより精度の高いリスク評価法が必要であることが示されました。


Performance of Cardiovascular Risk Equations for Cardiovascular Mortality Prediction in Adults With Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease

Tioh J, Tsutsumi T, Mori K, Takahashi H, Muthiah M, Mehta A, Sperling L, Ng C, Huang W, Yoneda M

The American Journal of Cardiology. 2026 Aug 14
DOI: 10.1016/j.amjcard.2026.08.006
PMID: 42600722

【米田正人主任教授のコメント】
MASLDは肝疾患だけでなく、心血管疾患とも密接に関連しています。本研究により、既存の心血管リスク予測モデルの有用性と限界が明らかになりました。今後、MASLD患者に適した心血管リスク評価法の確立につながることを期待しています。本研究に参加された皆様、ならびに国内外の共同研究者の先生方に心より感謝申し上げます。

2026年8月17日

SLD患者におけるCKDリスクと代謝負荷・高尿酸血症の関連を解明 ― 岩城慶大医師らの原著論文が Hepatology Research 誌に掲載 ―

肝胆膵消化器病学教室の岩城慶大医師らが参画する研究グループ Japan Study Group of Nonalcoholic Fatty Liver Disease (JSG‑NAFLD) は、全国約10万人の MIRACLE‑J コホートを解析し、脂肪性肝疾患(SLD)患者の慢性腎臓病(CKD)リスク評価において、代謝異常と尿酸値を総合的に捉える重要性を示した研究成果を Hepatology Research誌 に報告しました。


Metabolic Burden and Hyperuricemia Are Associated With CKD-Related Outcomes in Individuals With and Without Steatotic Liver Disease

Iwaki M, Fujii H, Kamada Y, Suzuki Y, Sawada K, Tatsuta M, Maeshiro T, Tobita H, Tsutsumi T, Akahane T, Hasebe C, Kawanaka M, Kessoku T, Eguchi Y, Syokita H, Yoneda M, Nakajima A, Kamada T, Yoshiji H, Kawaguchi T, Sakugawa H, Morishita A, Masaki T, Ohmura T, Watanabe T, Yoda Y, Enomoto N, Ono M, Fuyama K, Okada K, Nishimoto N, Ito YM, Takahashi H, Sumida Y; Japan Study Group of Nonalcoholic Fatty Liver Disease (JSG‐NAFLD).

Hepatol Res.  2026 Aug 14.  Online ahead of print.
doi: 10.1111/hepr.70224.
PMID: 42598891

【岩城慶大医師のコメント】
 本研究は、全国多施設共同の大規模検診コホートであるMIRACLE-Jコホートのデータを用いて、脂肪性肝疾患(steatotic liver disease: SLD)と慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)との関連を検討した研究です。
 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)とCKDは密接に関連することが知られていますが、今回、約10万人規模の大規模コホートを解析し、CKDリスクには肝臓への脂肪沈着そのものよりも、心代謝系リスク因子(cardiometabolic risk factors: CMRFs)の蓄積、すなわち「代謝負荷」が強く関与することを明らかにしました。
さらに、CMRFsの陽性数が増えるほどCKD関連アウトカムのリスクが段階的に上昇し、これに高尿酸血症を「第6のCMRF」として加えることで、CKDリスクがさらに上乗せされることを示しました。
 本研究は、SLD患者における腎障害リスクを評価する際に、脂肪肝の有無だけではなく、代謝異常の蓄積と血清尿酸値を含めて総合的に評価することの重要性を示す結果と考えています。
 本研究の実施ならびに論文作成にあたり、大阪公立大学の藤井英樹先生、大阪大学の鎌田佳宏先生、当教室主任教授の米田正人先生をはじめ、共同研究にご参加いただいた先生方には多大なるご協力・ご指導を賜りました。心より御礼申し上げます。

2026年8月17日

新しい肥満定義がMASLD患者の分類と予後予測に与える影響を検討した国際共同研究がHepatology誌に掲載

 米田正人教授が参画した、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)における新しい肥満定義の臨床的意義を検討した国際共同研究が、肝臓病学領域の国際学術誌 Hepatology に掲載されました。


Implications of new obesity definitions in the classification and outcomes of patients with MASLD

Jie Cai, Terry Cheuk-Fung Yip, Huapeng Lin, Grace Lai-Hung Wong, Andrea On-Yan Luk, Emmanuel Tsochatzis, Salvatore Petta, Elisabetta Bugianesi, Masato Yoneda, et al.; VCTE-Prognosis Study Group

Hepatology. 2026 Jul 27. Online ahead of print.
DOI: 10.1097/HEP.0000000000001827
PMID: 42507833

 肥満はMASLDの発症および進展に深く関与する重要な因子である。従来、肥満の評価にはbody mass index(BMI)が広く用いられてきたが、近年ではBMIに加え、腹囲やウエスト身長比などの身体計測値、さらに肥満関連合併症を組み合わせた新たな肥満定義が提唱されている。しかし、これらの新しい定義がMASLD患者における肝関連イベントのリスク評価に有用であるかは明らかではなかった。
 本研究では、国際多施設共同研究「VCTE-Prognosis Study」に登録されたMASLD患者12,583例を対象とし、従来のBMIによる肥満定義、European Association for the Study of Obesity(EASO)の定義、Lancet Commissionの定義を比較した。各定義における肥満該当率を評価するとともに、肝関連イベントとの関連を検討した。
 その結果、BMIでは肥満と判定されなかった患者のうち、EASO基準では20.4%、Lancet Commission基準では34.1%が新たに肥満に分類された。
一方、新たな基準によって肥満と分類された患者において、非肥満患者と比較した肝関連イベントリスクの有意な上昇は認められなかった。したがって、新しい肥満定義は肥満と分類される患者集団を拡大するものの、従来のBMIによる評価を上回る肝関連イベント予測能は示さなかった。
 さらに、ウエスト身長比と肝関連イベントとの関連を検討した結果、ウエスト身長比が約0.6に近づくと、肝関連イベントのリスクが有意に上昇した。
以上の結果から、新しい肥満定義をMASLD患者に適用する際には、肥満該当者の拡大のみならず、将来の肝関連イベントを適切に反映する身体計測指標およびその閾値を検討する必要性が示された。

2026年8月12日

小田貴之医師らの症例報告が「Clinical endsocopy」誌にオンライン先行公開されました

このたび、横浜市立大学附属病院 肝胆膵消化器病学の小田貴之医師の症例報告(内視鏡動画付き)が「Clinical endsocopy」誌にOnline ahead of print(オンライン先行公開)されました。

Successful endoscopic transpapillary gallbladder drainage using a rotatable sphincterotome to overcome placement difficulty due to a caudally oriented cystic duct.

Oda T, Hasegawa S, Yoneda M

Clinical endsocopy
doi: https://doi.org/10.5946/ce.2026.064
Published online: August 7, 2026

【小田貴之医師のコメント】

 この度、内視鏡的経乳頭胆嚢ドレナージ(endoscopic transpapillary gallbladder drainage:ETGBD)における回転式スフィンクテロトーム(ENGETSU; Kaneka Medix)の有用性について、内視鏡動画を含む症例報告として発表させていただきました。
 現在、我々は悪性遠位胆管狭窄に対する胆管金属ステント留置時に、処置後の胆嚢炎予防を目的としてETGBDを併施する単群前向き試験を実施しております。今回報告した症例は、この前向き試験の一環としてETGBDを施行した症例です。
 本症例は膵癌による遠位胆管狭窄を来しており、胆嚢管の屈曲が強かったため、通常のストレートタイプのカテーテルでは胆嚢内へのガイドワイヤー挿入が困難でした。そこで、通常は内視鏡的乳頭切開術に使用する回転式スフィンクテロトームを総胆管内に挿入し、その先端を胆嚢管の走行方向に合わせることで、胆嚢内へのガイドワイヤー挿入に成功しました。
 ETGBDは急性胆嚢炎などに対しても行われる処置ですが、その手技成功率は約70%と報告されており、胆嚢管へのガイドワイヤー挿入が困難な症例が一定数存在します。本症例報告を通じて、このようなETGBD困難例において、回転式スフィンクテロトームがガイドワイヤー挿入を補助する有用な選択肢となり得ることを示しました。
 この場をお借りして、本報告の作成にあたりご指導いただきました長谷川翔先生、米田正人先生に深く感謝申し上げます。

2026年8月10日

横浜市立大学附属病院 国際臨床肝疾患センター YouTube動画公開中

 横浜市立大学附属病院 国際臨床肝疾患センターでは、肝炎情報センター戦略的強化事業の一環として、肝疾患に関する普及啓発動画をYouTubeにて公開しています。
 肝炎・肝がん・脂肪肝などの肝疾患に関する正しい知識の普及を目的とした内容となっておりますので、ぜひご覧ください。

動画案内ポスターも作成いたしました▶▶

普及啓発活動として今後も動画を順次公開予定です。多くの方にご視聴いただけますと幸いです。

 公式X:@YCU_LiverCenter

2026年8月5日

2026年度 第3回 肝臓病教室 開催のご案内

肝疾患診療連携拠点病院としての活動の一環として肝臓病教室を開催いたします。
第3回は9月10日(木)13:30からの開催予定です。
参加費無料、事前申込不要で、どなたでもご参加いただけます。
多くの方のご参加をお待ちしております。

【第3回肝臓病教室】
1.肝臓がんを早く見つけて治すために
 ‐診断と治療の最前線‐
  講師:医師 岩城 慶大
2.肝硬変の食事について
  講師:管理栄養士 北村 照美

日程:2026年9月10日(木)13時30分~15時
会場:横浜市立大学
  みなとみらいサテライトキャンパス
※横浜ランドマークタワー7階「桜木町」駅徒歩5分,「みなとみらい」駅徒歩3分

第3回肝臓病教室 リーフレット

【第1回】2026年4月30日(木)13時30分~15時
   『肝臓から始まる生活習慣病―脂肪性肝疾患(MASLD)を正しく知る―』、他
   会場 みなとみらいサテライトキャンパス 

【第2回】2026年6月25日(木)13時30分~15時
   『自分の免疫が肝臓を攻撃?―自己免疫性肝疾患を正しく理解する―』、他
   会場 横浜市立大学附属病院薬局棟研修室

【第3回】2026年9月10日(木)13時30分~15時
   『肝臓がんを早く見つけて治すために―診断と治療の最前線-』、他
   会場 みなとみらいサテライトキャンパス

【第4回】2026年11月26日(木)13時30分~15時
   『肝臓の状態を正しく知る―肝硬変・肝不全への進行を防ぐ最新検査-』
   会場 横浜市立大学附属病院薬局棟研修室

肝臓病教室 リーフレット

2026年8月5日

米田正人主任教授の解説記事が医療メディア「Medical Tribune」に掲載

医療メディア「Medical Tribune」の連載企画「最新論文で考える日常臨床Doctor’s Eye」において、横浜市立大学大学院医学研究科 肝胆膵消化器病学の米田正人主任教授による解説記事が掲載されています。
今回のテーマは、『MASLD診療、「迷い」を減らすAI登場?深層学習が切り開く線維化診断』です。

本記事では、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)における肝線維化診断について、深層学習(AI)を活用した最新の研究知見をわかりやすく解説しています。AIが診療現場にどのような変化をもたらすのか、今後のMASLD診療の発展を考える上で示唆に富む内容となっています。

ぜひご一読ください。

掲載記事
「MASLD診療、『迷い』を減らすAI登場? 深層学習が切り開く線維化診断」

2026年7月31日

神奈川県共催 健康セミナー『筋肉は“第2の肝臓”』開催報告

2026年7月25日(土曜)、TKPガーデンシティ横浜ホールCにて、神奈川県との共催により、健康セミナー「筋肉は“第2の肝臓”」を開催しました。
 当日は肝臓と筋肉の深い関係について学ぶ講演会に加え、元プロ野球選手・監督によるトークショーや運動イベントを実施し、約80名の方が来場し熱心に聴講されました。

学びのセッション

いつの間にか脂肪肝になっていませんか?~今日から役立つ対策のポイント~
横浜市立大学 肝胆膵消化器病学 助教 野上麻子 先生
 脂肪肝の現状や生活習慣改善のポイントについて、わかりやすく解説いただきました。

かながわの肝炎対策 ~正しく知って未病改善~
神奈川県 がん・疾病対策課 野下涼太 氏
 神奈川県における肝炎対策や検査・受診の重要性について紹介いただきました。

スポーツセッション

アスリートトークショー
工藤 公康さん(元プロ野球選手・監督)
×
米田 正人先生(横浜市立大学肝胆膵消化器病学教室主任教授)

 総合司会を務めた米田正人先生との対談形式で進行いたしました。

 「現役・監督時代の拘り」や「怪我との向き合い方」から「食事」そして「運動が人生にもたらす楽しさとは」等について貴重なお話を伺いました。
 会場からの質問にも丁寧にお答えいただき、参加者との交流も大いに
盛り上がりました

運動イベント

ながら運動講習会×肝炎体操
 ミズノ株式会社よりインストラクターのご指導のもと、日常生活のなかで無理なく続けられる運動を参加者全員で実践しました。筋肉量の維持・向上について、楽しく学ぶ機会となりました

セミナーを終えて

 筋肉はエネルギー代謝や糖代謝に深く関わり、「第2の肝臓」とも呼ばれています。本セミナーが、運動習慣や健康的な生活習慣を見直すきっかけとなり、県民の皆様の健康増進につながることを願っています。

2026年7月24日

【初期研修医の先生方へ】進路・キャリアに関する個別相談を随時受付中!

初期研修医の先生方、日々の研修お疲れ様です。
横浜市立大学 肝胆膵消化器病学教室です。
当教室では、これまで医局説明会を開催してまいりましたが、
• 「説明会の日程が合わなかった」
• 「進路について、もう少し個人的にじっくり相談してみたい」
• 「消化器内科に興味はあるけれど、他科とも迷っている」
• 「実際の働き方や、専門医取得、キャリアパスについて本音を聞きたい」
といった先生方の声にお応えし、このたび「個別相談・フリートーク窓口」を常設いたしました。 2年目の先生はもちろん、「まだ先だけど、少し話を聞いてみたい」という1年目の先生も大歓迎です!
先生方のご都合やご希望に合わせて、以下のような多様なスタイルで対応いたします。

選べる相談スタイル

  • オンライン(Web)相談
    Zoomなどを使い、ご自宅や病院からでもサクッと参加可能です。フリートークを中心に、ざっくばらんにお話ししましょう。
  • 対面でのカジュアルな相談(お茶・飲み会など)
    直接会って、医局の雰囲気や実際のところを詳しく聞きたい方へ。ちょっとしたカフェでのお茶や、もし希望者が複数名いらっしゃったら飲みの席などで、リラックスした雰囲気でお答えします(費用はもちろん医局が負担します!)。
  • メール・各種メッセージでの相談
    「まとまった時間は取れないけれど、気になっていることだけピンポイントで質問したい」という方は、メールでのご相談も大歓迎です。

こんな疑問・不安、何でも歓迎します!

  • 「横浜市大の肝胆膵消化器病学の教室の雰囲気って実際どう?」
  • 「入局後の具体的なキャリアパスや、関連病院での研修は?」
  • 「消化器内科って忙しい? ワークライフバランスは保てる?」
  • 「大学院進学や学位取得、留学についての話を聞きたい」

指導医や若手医局員が、先生方の疑問に本音で、真摯にお答えします。無理な勧誘は一切ありませんので、進路に迷っている段階でも安心してご連絡ください。

<ご連絡先>
藤沢湘南台病院 消化器内科 西野麻美

2026年7月22日

APASL 2026 Single Topic Conference 活動報告

2026年7月9日(木)~7月12日(日)にかけて、シンガポールのGrand Hyatt SingaporeにてAPASL 2026 Single Topic Conference が開催されました。横浜市立大学医学部肝胆膵消化器病学教室からは米田正人医師、野上麻子医師が参加いたしました。

Prognostication of PSC cirrhosis: optimizing outcomes and transplant consideration.
Yoneda M.
Symposium 3: Autoimmune and cholestatic disease, July 10, 2026.

Pharmacological Treatments for Primary Sclerosing Cholangitis A Systematic Review and Network Meta-Analysis.
Nogami A, Yeo LYY, Tham EKJ, Hwang YM, Sian KC, Gnanavelou M, Tioh JK, Selvakumar A, Tang NSY, Zhang D, Lim WH, Jie JLW, Tan EXX, Chen VL, Nah B.
Oral Presentation 1, July 10, 2026.

[野上麻子医師のコメント]
 他の先生方の発表を聴講し、最新の知見について理解を深めることができました。また、学会期間中には現地の先生方と直接意見交換を行う機会が多くあり、大変有意義な時間となりました。オンラインでも学会に参加できる時代ですが、対面での交流を通じて新たな視点や気づきを得られることは、現地参加ならではの意義であると感じました。
 今回得られた学びを今後の研究や診療に生かし、より良い医療として患者さんに還元できるよう努めてまいります。

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