Leukotriene Receptor Antagonist Therapy for the Chemoprevention of
Human Rectal Aberrant Crypt Foci: Nonrandomized, Open-Label, Controlled Trial
Higurashi T, Ashikari K, Tamura S, Saigusa Y, Takatsu T, Misawa N, Yoshihara T, Matsuura T,
Fuyuki A, Ohkubo H, Kessoku T, Hosono K, Yoneda M, Nakajima A.
Cancer Prevention Research (Phila). 2022 Oct 4;15(10):661-668.
本論文は非常に反響があり、Cancer Prevention Research 2022年10月号の表紙に採用されました。
日暮医師のコメント
大腸癌は本邦では罹患率 男女合計で第1位(男性4位、女性2位)死亡数で男女計2位(男性3位、女性1位)となり今後も長期的に持続して増加することが予想されており早急な対策が求められています。喘息やアレルギー性鼻炎の治療として用いられるロイコトリエン受容体拮抗薬(Leukotriene receptor antagonist: LTRA)は、疫学研究により使用者の癌発生が少ないことが報告されており、化学予防薬としての候補と考えられていました。そこで我々はこのLTRAを用いて大腸癌の代替指標(サロゲートマーカー)である直腸Aberrant Crypt Foci(ACF)を減少させる効果があるかどうかの臨床試験を行いました。
2か月のLTRAの内服で直腸ACFは投与前よりも有意に減少し、直腸粘膜の細胞増殖活性も低下させることを示しました。LTRAは大腸癌の化学予防薬の候補となる可能性を示しました。
本研究は神奈川県立産業技術総合研究所 (KISTEC)の資金援助を得て実施されました。試験の実施にあたって協力頂いた関係者の皆様、患者様、ご家族の皆様、ご指導頂いた中島教授に御礼申し上げます。
今後も大腸癌の予防に向けて頑張っていきたいと思います。